The Focal Distance

若さとはこんな淋しい春なのか

フィルムコンパクトカメラを買った – Minolta Capios 115S

昨年の夏にNikon L35ADというカメラを買って35mmフィルムの世界に手を出してしまった。かなり気に入っていたのだが、iPhone 12 Proを購入してからは使う頻度がいささか減っていた。とにかく現像に金がかかるという問題もあった。

それらの問題はまったく解決していないが、L35ADを売り払って新しくカメラを購入した。それがMinolta Capios 115S。2001年の初頭に発売されたフィルムコンパクトカメラで、デジタルに置き換わっていく直前、最終盤の製品と言えるだろう。

Capios 115Sというカメラ

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ストラップが付属していなかったのだが、純正のそれとケースをヤフオクで購入したので今は変わっている。ストラップの突起がフィルムの途中巻きに便利なので、純正のストラップがあった方が良い。

このカメラは、2017年に29歳で亡くなった中国の写真家・任航(レン・ハン)が使っていたと言われている。任航のカメラとしてもっとも有名なのは、同じミノルタの110 Zoom Dateだが、Freedom 115(Capios 115Sの海外名称)も使っていた、らしい。

新しくフィルムカメラでも買うか、と思ってネットサーフィンをしている折にその記述を見つけて、即座に購入してしまった。ヤフオクで4,000円弱。フィルムカメラが日に日に高くなっている昨今では安い部類ではないだろうか。

Capios 115Sには、まったく複雑な機能はない。撮影するには、ファインダーを覗き、シャッターを半押ししてピントを合わせ、そして切る。他にできることと言ったら、ズームするかどうか、フラッシュのモード(いくつか用意されている)を変更するかどうか、日付を入れるかどうか、これくらいのものである。このような、露出やフォーカスやストロボを自動でよしなにやってくれるカメラのことを、英語で “point-and-shoot” と言うが、まさにその語感がぴったりだ。

いま述べたとおり、Capios 115Sにはズームレンズがついている。37.5–115mm F5.4–10.9という、何の変哲もない、暗いレンズ。L35ADのそれが35mm F2.8で、『ニッコール千夜一夜物語』にも登場した優秀なゾナーレンズだったことに比べれば、まったく劣ると言ってしまってもいい。

でも、あまり特筆すべきことのない、難しいことを考えずに、誰でも使えるように設計された家庭用のコンパクトカメラで撮った写真が、不思議に好ましい。写真を撮るのも楽しい。ファインダーは思いの外見やすいし、ボディは軽くて手になじむ。ズームの挙動もなんだかかわいい。日付も2030年まで1入れられる。

写真

ずいぶん御託が長くなってしまったが、実際に1ロール撮って現像したので、何枚かお見せしようと思う。使用したフィルムはFUJICOLOR 100。

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何枚か擦り傷が走っている写真があり、フィルムの巻き取りなどにおかしなところがあるのかもしれないが、瑕疵のない写真を撮りたくてフィルムカメラを使っている訳ではないので、まあ良いかな、と思っている。


  1. ネットの情報では2099年までという話だったし、ミノルタのカメラのアフター・サポートを受け継いだケンコー・トキナーの公式サイトに掲載されている説明書でもそう書いてあるのだが、僕が購入したものは2030年までしか設定できないように思われる。途中で仕様変更があったのかもしれない。