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くらげの日記

概ね眠い18歳男の日記

スマホ時代の国高祭宣伝

国高

宣伝については引き継ぎを書くつもりはなかったのですが、国高祭の宣伝はいま変革を迎えているのかなと思ったので、考えをまとめておきます。
基本的には、クラス演劇のインターネットにおける宣伝を念頭に措いていますが、1・2年の展示の宣伝や、アナログな宣伝にも応用できる部分はあると思います。
また、途中で専門用語が出てきたりして、わからないものがあるかもしれませんが、重要な用語は説明を加えているし、説明がないものは重要ではないので、わからないまま読み飛ばして大丈夫です。

国高祭宣伝の役割と目的

そもそも、国高祭における宣伝にはどのような役割があるのか、改めて整理すると、以下の2つに集約されると思う。

順に見ていこう。まず、「必要な情報の伝達」というのは、お客さんが自分たちの演劇を見るにあたって必要となる情報(公演場所、公演時間、抽選への参加方法など)をきちんと伝えるということだ。また、毎年8つ以上の芝居が行われるわけだから、お客さんがどの作品を見るか選ぶために、作品のあらすじやキャストの紹介なども必要となる。

続いて、「クラスのブランディング」だが、まずブランディングという言葉について長々と説明する。意味がわかる人は読み飛ばしてほしい。

たとえばあなたがヨドバシカメラでテレビを買うとする。テレビコーナーには、無名メーカーA社のテレビとパナソニックのテレビが置いてあり、あなたが求める機能はどちらのテレビもすべて備えている。そしてパナソニックのほうが5,000円だけ高い、というとき、多くの人はパナソニックのテレビを買うことを選ぶのではないだろうか。

機能はA社のテレビでも同じなのだから、5,000円安いA社のテレビでも問題ないはずなのに、なぜパナソニックを選ぶかと言えば、パナソニックというブランドに対して、「信頼感」や「安定感」、あるいは「高度な技術」とか「壊れにくい」などといった良い印象を持っているからに違いない。そのブランドが、あなたにとって5,000円以上の価値があるからパナソニックのテレビを選ぶのだ。

ではA社のテレビが選ばれるようにするために、A社はどうすれば良いのかというと、そこで「ブランディング」が必要となる。たとえば、おしゃれなCMをたくさん打って知名度を上げ、製品のデザインを変えて、「A社=スタイリッシュ」といった印象をお客さんに与えたり、あるいはサポートに力を注いで、「A社はアフターケアがしっかりしている」「A社=信頼できる」といった印象を与えることで、お客さんはA社の製品を選ぶようになってくるだろう。

つまり、ブランディングとはそのブランドを価値あるものにしていくことである。これは必ずしも企業には限らない。たとえば京都だってひとつのブランドだろうし、東大もブランドであるといえる。

さて、国高におけるクラスを考えてみる。「あのクラスはウェイが多い」「あのクラスはセンスがある」といった印象をなんとなく持っているものではないだろうか。国高のクラスも、特に校内においてはひとつのブランドである、ということだ。そこで宣伝に求められるのが、「クラスのブランディング」である。たとえば、「あのクラスはすごい」「あのクラスはユーモアがある」という印象を持たせられれば、「だからあのクラスがやる芝居も面白いだろう」とお客さんに思わせることができる。

また、基本的に、国高祭というのは保護者やOBOGの来場が結構多いので、校内でブランディングに成功すれば、在校生経由で保護者などに「あのクラスが面白そうだよ」という情報が波及し、当日の集客に成功することは十分に考えられる。

もちろん、演劇自体が面白ければ、やがて自然に前評判というのは形成されていくものだろうが、最初に見に来てもらえなかったらお話にならず、いかにして評判がわからない状態で「見に行こう」と思わせられるかが宣伝の頑張りどころである。

宣伝の目的は、「必要な情報の伝達」と「クラスのブランディング」の2つの役割を果たし、集客を増やすことにある。

国高祭宣伝のターゲット

宣伝のターゲットについて考えていく。たとえば、あなたが自動車会社の従業員で、今度発売するスポーツカーの広告を考える立場にあるとする。その場合、基本的には富裕層の男性を狙った広告を作るのではないだろうか。あなたがCECIL McBeeの従業員で、秋物の広告を考える立場だったなら、若い女性をターゲットにして作るだろう。

では、国高祭宣伝は、どこをターゲットとすれば良いのか。

庶務委員会や国実・文実あたりはもう少し正確なデータを持っていそうだが、私が2日間抽選トラブル窓口で接した実感では、国高祭の来場者は、中学生・保護者・OBOGの3グループがやはり多いように思われる。*1宣伝の視点では、保護者の動向は在校生の影響が大きいとみて良いだろう。

よって、国高祭宣伝は、中・高・大学生がメインターゲットであると考える。宣伝をする側も高校生なのだから、同年代を狙った方がやりやすいというのもある。

国高祭宣伝とホームページ

国高祭のクラス宣伝はインターネットと密接な関係にある。インターネットが普及する以前は、不特定多数の人にヒットする媒体というのは、テレビ・新聞・ラジオ・鉄道広告くらいしかなかったと思われる。インターネットの普及によって、資金力の無い個人や団体でもうまくすれば多くの人にヒットする広告を打つことができるようになった。

人を集めようとする高校生の集団がインターネットを利用しない手はない。ここからは少し専門的な話になるが、クラスのホームページ*2というものが作られるようになったのは、2002年頃*3と考えられる。その後、クラスホームページの技術力は上昇の一途をたどり、Flashを多用したコンテンツが2012年頃までは見られる。2013年頃からFlashが使われなくなったのは、HTML5やCSS3、Javascriptなどで動的なコンテンツが制作できるようになったこと、そしてFlashスマートフォンで動作しないから、というのが大きいだろう。

また、最近ではWixやJimdoといった、専門的な知識を持たずともホームページを作ることができるサービスが生まれていて、国高祭のクラスホームページは以前のように自分たちですべて作るのではなく、これらのサービスを利用して制作されることが一般的になってきた。

相対的に見て、国高祭のクラスホームページの制作技術は2013年頃をピークに低下しつつあるが、これは、国高祭宣伝におけるホームページが占める重要性が低下し、人的資源や時間をホームページに割かなくなってきているためであると考える。次項以降、「なぜ重要性が低下しているのか」を考察する。

スマートフォンの台頭とアプリの囲い込み

結論から言えば、国高祭宣伝におけるホームページの重要性が低下した理由は、簡単に言えばスマートフォンが普及したからだ。

国高祭のメインターゲットである10代のスマートフォン普及率を見てみよう。株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の「メディア定点観測2016」*4によれば、東京地区の10代男性の96.4%、10代女性の90.7%がスマートフォンを所持している。このページを読んでいる国高生の皆さんも、ほとんどがスマートフォンをお持ちなのではないだろうか。

スマートフォンの普及によって、何が変わったか考えてみる。いま、皆さんはこの記事を何で読んでいるだろうか。PCよりはスマホで読んでいる人が多いのではないか。株式会社ジャストシステムの調査*5によれば、10代の1日あたりのスマホ利用時間はPC利用時間の2倍以上に上る。

また、スマートフォンを利用しているなかで、純粋にブラウザを利用して「ホームページ」や「ブログ」を見ている時間はどれくらいあるだろうか。実のところ、TwitterFacebookInstagramYouTubeなどのSNSアプリ、LINEやMessengerなどのコミュニケーションアプリを利用している時間の方がずっと多いのではないだろうか。実際、株式会社ニールセンの調査*6によれば、アプリを利用している時間は1日あたり1時間28分なのに対し、ブラウザを利用している時間は1日あたり23分に過ぎない。アプリという広いくくりで比べているので、少し公平性がないように思えるけれど。

以上の事柄から導き出される結論として、スマートフォンの普及によって、人々はブラウザで自由にインターネット上の様々なコンテンツを巡るのではなく、いくつかのアプリを利用し、そのアプリの中に長時間留まるようになった、という風に考えられる。10代では特にその傾向が顕著だ。

だから、国高祭宣伝でホームページは重要性を下げ、代わりにYouTubeに宣伝動画を投稿したり、TwitterやLINE@で告知するといった宣伝手法が広く取り入れられるようになった。自分たちでホームページという宣伝の場を用意するよりも、LINEなど既存のプラットフォームに乗っかって宣伝したほうが、多くの人にリーチするし、手間も省けるのだ。

これからの国高祭宣伝

ここからは、今後の国高祭宣伝がどうなっていくか考えてみる。

前項までで、国高祭宣伝でホームページは重要でなくなり、SNSに代表される既存のプラットフォームを利用して宣伝するようになってきた、と述べた。これからもその傾向は強まるだろう。

今年度、LINE@を利用して、各クラスの「公式LINEアカウント」を用意するという宣伝手法が初めて利用された。LINE@は、一斉送信機能に加え、単なる自動応答機能やキーワードに反応して自動応答する機能、LINEのタイムラインに投稿する機能などを備えている。私はLINE@は今後国高祭宣伝でより一層の活用が期待できると考える。

LINE@にはいくつかの魅力がある。第一には、圧倒的な利用率だ。

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わざわざデータを持ち出さなくても実感としてわかるだろうが、MMD研究所の「2015年版:スマートフォン利用者実態調査」*7によれば、以上の通りLINEの利用率はスマホを所持している10代男性で94.6%、同じく10代女性で99.0%に上る。10代に圧倒的な人気を誇るTwitterと比べても15ポイント以上の差をつけている。Twitterよりも、LINE@のほうが幅広い層にリーチするということである。

もうひとつは、やはりキーワード応答機能である。一斉送信機能も有効なのだが、1ヶ月にのべ1,000通までしか無料では送信できないのが難点(500人に送信するなら2通まで)だ。キーワード応答は送信回数も個数も無制限である。本年度は壁紙配布やキャラ診断などお遊び的な要素が多かったように思うが、「公演時間」と送信したら公演時間が返ってきたり、「抽選」と送信したら抽選の情報が載っているURLが返ってきたり、実用的な情報発信にも十分用いることができるのではないかと思う。

わざわざツイートやホームページを探さなくても、お客さんが気になることを打てば、すぐに返信が来る、というのはとても便利だ。「宣伝動画」と打てば今までの宣伝動画のまとめが返ってくるなんてのも良いかも知れない。アイディア次第で面白い方向にも実用的な方向にも活用できる。キーワード応答機能を有効に活用している例として、デイリーポータルZのLINEアカウントを紹介する。

余談になるが、国高祭アプリなんかを作るよりも、国高祭公式LINEアカウントを作って適切なキーワード応答を設定する(「地図」と打ったら構内図が出たり、「3300」と打ったら展示紹介や展示場所の地図が出るなど)方がよほど便利なのではないか(アプリをインストールする手間などを考えていますか?)と思うので、来年度以降そういうことを考えている人がいたら参考にして欲しい。LINE@は18歳以上しかアカウントを開設できないのが難点だが。

ここまで、LINE@について述べてきた。LINE@だけでなく、現在広く使われているTwitterYouTubeに加え、一部のクラスで利用されているFacebookInstagramもさらなる活用が望めるものと思うし、今後登場するプラットフォームを国高祭宣伝は積極的に利用していくこととなるだろう。これを読んでいる国高生の皆さんが、今後インターネット上で自分たちが面白いと思う宣伝とお客さんの視点に立った情報発信を両立させていくことを期待し、この長い引き継ぎを終わる。

*1:Web抽選のデータでは、2日間で抽選に申し込んだのべ5,649人のうち、747人が「中学生優待」を利用した。およそ13%にあたる。実際の中学生はこれよりももう少し多いと思われる。

*2:本当はウェブサイトと呼ぶ方が正しいです。

*3:http://3100sting.web.fc2.com/ilink2.html より

*4:http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/06/HDYmpnews20160620.pdf(PDF注意)

*5:http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000007597.html

*6:http://www.netratings.co.jp/news_release/2015/11/Newsrelease20151125.html

*7:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1511.html