The Focal Distance

若さとはこんな淋しい春なのか

夜行バスとスーパー銭湯

8月9日夜に有楽町のあたりから夜行バスで京都に乗り、翌日夜に大阪から夜行バスで東京駅に戻るという、弾丸旅行を友人とした。京大と阪大のオープンキャンパス巡りにかこつけた旅行である。

夜行バスという乗り物は良い噂は全く聞かないので、初めて乗ると言うことで緊張していたが、お盆近くということもあって帰省する人が多かったのか、客層はそんなに悪くなく、接客も運転も(少なくともその後に乗る京都市バスよりは)かなり丁寧だった。

 ただ、中の狭さには辟易した。寝不足にしておいてから乗り込んだので眠りにつくことはできたが、朝起きてもまったく疲れが取れた気がしなかった。横になれないというのは辛い。北朝鮮政治犯は横になって眠ることが許されないという話を聞いたことがあるが、それを連想させた。おかげさまで身体に鞭打ちながら京都と大阪を巡る羽目になってしまった。

京都ではまず朝ご飯が食べたいということになり、七条から地下鉄で四条烏丸のほうまで行き、都野菜賀茂というお店の朝食バイキングを頼むことにした。開店の15分前くらいについたのだが、既に数組並んでいた。野菜はあまり好きではないのだが、食べられそうなものでサラダを作ったら新鮮な感じはした。おかゆも本当に10年ぶりくらいに食べたが、美味しいと思った。ワンコインでは十分満足した。

その後ネカフェでシャワーを浴びて京大に市バスで向かった。バスは遠回りをする系統だったのか非常に長かったが、良い睡眠時間となった。市バスに乗っていて京都の人はせっかちなのかなと思った。東京では、バスが停留所に着く前に降りようとすると、運転士に諫められたり、それを予め注意する自動放送が流れているものだが、京都ではバス停に着く前に立ち上がって降車口のほうへ向かうのが常識のようだった。

京大を出て、出町柳駅から京阪特急で大阪へと向かった。個人的には、京阪の特急には哲学を感じて好きだ。車内に広告がないこととか。途中の停車駅の名前も好きだ。「樟葉」「中書島」あたりが。京橋でJRに乗り換えて大阪駅に着いた。大阪駅では阪急三番街だかどこかで昼食を取り、阪大へ向かった。

なるべく歩きたくなかったので、阪急で蛍池まで向かって、そこからモノレールで一駅の柴原で降りて、豊中キャンパスに行った。友人が阪急の電車に乗りながら「関西の電車はおしゃれだ」と言っていた。僕もそう思う。JR西日本の車両の古くささはいただけないけど。全部焦茶色に統一している阪急も、居心地の良い京阪の特急も好きだ。ついでに、大阪モノレールの駅には(降りた駅は全駅)ちょっとした休憩スペースがあり、なかなか良いなと思った。

阪大を出た後、お土産を買おうということになったのだが、不慣れな大都会梅田なんかでお土産を探すのが苦痛なので、モノレールで大阪空港まで行くことにした。ターミナルに土産物がいくらでもあるだろうという目論みで。大阪空港のターミナルには昔立川にあったACTUSが入っていて、こんなところに家具屋なんかあって誰か買うんだろうかと心配になった。展望デッキから飛行機を見た。飛行機を見るのはとても好きなのだが照り返しで暑くてたまらなかったので早々退散した。

空港で時間をつぶしたあと、お風呂につかりたいということで、なにわの湯に行った。なかなか広く綺麗で良い、と思った。お風呂につかるとなぜ嫌なことすべて忘れられるような感じがするのだろう。精神的にも肉体的にもだいぶ回復したように思えた。風呂から出たあとロビーでコーヒー牛乳を飲んだりしてのんびりしていたら、白人の美しいお姉さんが1人でうどんかなんかを食べていた。地元の人のような雰囲気だった。スーパー銭湯というのはただでさえ平和的な場所だが、風呂上がりの外国人が和食を食べているというのはとても平和な光景だった。この光景をきっと忘れないだろうと思った。

それから天神橋筋6丁目商店街にある十八番という中華料理屋で晩ご飯をとった。家の近くにあったら通い詰めてるだろうなあという感じだった。味はそんなに美味しくもないが、大衆食堂然とした雰囲気が最高に良かった。あれくらいの接客が一番心地よく感じる。カウンターの向かいでは上司と部下と思しきサラリーマンが餃子なんかをつまみにビールを煽っていて、部下はひたすら上司の武勇伝を感心しているそぶりで聞いていた。見ていて面白いのかなと思ったが、話を聞いてみたら結構面白かったので本当に感心しているのかもしれない。

バスは23時半に梅田から出るので、地下鉄で梅田まで戻って、携帯を充電したかったので茶屋町まで行ってマックに入って時間をつぶすことにした。茶屋町のマックにはなぜか棚橋のサイン入りポスターがあった。プロレスなんて全然知らないが祖母が棚橋のファンなので彼だけは知っている。茶屋町からバスターミナルまで行く途中にホテル阪急インターナショナルというホテルがあり、そこでお手洗いを借りたがだいぶ高級そうな雰囲気でなかなか気圧されてしまった。

京大と阪大のオープンキャンパスという名目で行ったのに大学のことをほとんど書いていないことに今気付いたが、この前の記事にも書いたがなんでも枝葉のことばかりが印象に残っているものである。